ルビーは、古代インドでは「ラトナラジュ」(宝石の王)と呼ばれ、現代においてもダイヤモンドを凌ぐ人気の高い宝石です。古代ペルシャでは、地球の内部には真赤に燃えるルビーが存在し、地球を混めていると信じられていたそうです。また、『旧約聖書』に記載されている「ノアの箱舟」の明かりは、ルビーによってなされ、真暗な船内はルビーの発する輝きによって満たされていたとも伝承されています。古代ローマで、世界最初の百科辞典を作り上げた賢人プリニウスの辞典には、ルビーを印章用の封印に用いるなら、温めなくても、ルビーの自らの熱によって封印できると述べられています。そして、古代のビルマの王様は、毎日握りこぶし大の最高のルビーで全身を磨いたお陰で、数百才まで赤ちゃんのような美しい肌のまま、驚異的な長寿を送ったという伝説も残されています。ダイヤモンドよりもずっと古くから、最高の宝石として崇められてきたルビーには、無数の伝説、神話が世界各地に残されています。また、ルビーはその美しさ以上に、世界中で魔除け、戦いに勝利する情熱の象徴や不老不死の秘薬として、あるいは守護宝石として大切に扱われてきました。丈夫さにおいても、ダイヤモンドを凌ぎ、長きにわたって世界中で愛される王者の宝石として、現代においても人気の高い宝石です。この真赤なルビーが鉱物的には酸化アルミニウムの結晶であるコランダムに分類され、真青のサファイアの兄弟であると申し上げると驚かれる方も多いでしょう。神の創り出す自然の采配は奇跡のように絶妙で、わずか1〜2%の酸化クロムが含まれるとルビーに成長し、同様に酸化鉄、酸化チタンが含まれるとブルーサファイアへと成長します。また、ルビーは酸化クロムの微妙な含有率によって、真紅の赤からピンクまで表情を変えていきます。本来は、赤味が入ったコランダムはすべてがルビーと称されていいはずなのですが、鑑別機関、そして宝石業界の商習慣として、ピンク色の「ピンクサファイア」なる宝石が存在します。実際、私たちもルビーとピンクサファイアの境界線を明確にすることは難しすぎると痛感しており、将来は変更されるものと信じています。