アーカイブ

服は肩で着るもの

「服は肩で着るものだ。肩がしっかり収まっているかどうか、それで着心地が決まる。肩のフィッティングとデザインはとても人事だ」と言ったのは、フィレンツェのスーツ仕立職人だった。たしかに、肩がうまくできている服は、生地の重さを感じない。逆に肩がうまくできていない服は、着ていると首の後ろから肩にかけてが疲れてしまう。すぐに脱ぎたくなる服は、肩がうまくできていないことが多い。英国の服は肩をコンケイブしている(削りとって、へこませている)ように、つまりあえて怒り肩になっているように什立てる。反対に、フィレンツェやナポリでは撫で肩になるように、後ろから見ると吋から肩先にかけての線がなだらかな山の稜線のように仕立てられることが多い。美意識の違いであると同時に、どのように着心地をつくるかの違いでもある。また、詰め物をして肩をつくる場合と、詰め物をほとんどせずにカッティングとアイロンのコントロールで肩をつくる場合とがある。詰め物でも、素材と着る人問の体型によって、きっちり成形されることもある。コンケイブした構築的な肩と、ナチュラルあるいはなで肩と、どちらがいいと言うことはできない。そのひとがどのように着たいかによるところが大きいし、好みもある。威風堂々とした姿を見せたいのか、それとも控えめな姿でいたいのか、それを肩で表現することが可能だ。ただし、疲れない肩であるべきだ。肩と連続して、アームホール(袖ぐり)も重要だ。アームホールが大きいと、腕をしげたとき、服全体が持ちLにげられてしまう。逆説めくが、アームホールが小さくて袖がたっぷりしているほうが、腕の可動域は格段に大きくなる。けれども、ただアームホールが小さければいいというものでもない。腕を動かしたとき、それに合わせて縦長になっていたアームホールが横長になるような、そんなふうに仕立てられていることが望ましい。既製服なら、ただの円や縦長の桁円ではなく、いわば蚕豆のようなかたちになっていると腕の動きがスムーズだ。さらに肩先というか、袖の付けられかたにも、さまざまな意匠がある。コンケイブした肩の場合、袖はふっくらとしているだろう。パリの古い仕立やナポリの場合、小さなアームホールに人きな袖をつけるので、当然のことながらアームホール川辺の袖はいせなければならず、ギャザーが寄ったようになっていることがある。パリではかつて、前から見るとすっきりしていて、後ろから見るとギャザーが寄っている袖付けが好まれた。

[参考情報]
コナカ公式通販 | スーツ・紳士服・礼服の通販
http://www.konaka.jp/
カウイジャミール通販サイト