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標準光源の試み

科学の方法で「白い光」を手に入れるためには、たとえ仮にでも「白い光」の基準になるものを物理的に決めて、いつでもどこでも誰にでも再現できる「白い光の標準光源」をつくる必要がある。それぞれの「白い光」を「標準光源」の色と比較して、「どれくらい白いか」を見るのである。「標準光源」の試みは、「白い光」がまだなかった19世紀以来なされてきた。その当時は色というより明るさの基準だったのだが、最初はロウソク、そして電球と変遷してきた。しかし、いかに基準が必要といっても、太陽の表面と同じ6000Kもの温度を地球上でつくりだすことはきわめてむずかしい。そこで、それよりは手軽で再現性がよく、もっとも安定した高温状態として選ばれたのが、凝固点に保った白金の湯(2042K)である。そのなかに「黒体」(あらゆる波長の光を吸収する物質。完全な黒体は現実には存在しない)と見なされる物体を置き、そこから放射される「熱放射光」(高温の物質から出る光)を基準とすることにした。それが1937年に国際基準として用いることになった「白金点黒体標準器」である。それでも、白金を用いたこの方法は、誰でも、どこでも、簡単に再現できるわけではない。そこで現在は、精度の高い測定技術が可能になったために、眼の分光感度を厳密に定義し、これと比較したうえで厳密に調整された色フィルターと厳密に調整された「タングステンフィラメント電球」とを組み合わせて、さまざまな色温度の「標準光源」がつくられている。たとえば、国際的にはA、B、Cなどと呼ばれている標準光源が決められている。「A光源」は色温度2856Kのタングステンフィラメント電球であり、「B光源」はA光源を色のついた溶液のフィルターに通して色温度4874Kにしたもの、黄味がかった昼光色である。「C光源」は色のついた溶液のフィルターに通して色温度6774Kにしたもので、青味がかった昼光色だ。太陽の白い光にもっとも近似させた「D65」と呼ばれる標準光源は、色温度6504Kの光とした標準光源である。晴れた日の昼間に北側の窓から注いでくる白い光と思ってよいだろう。